債務整理のメリット・デメリット
債務整理には、①任意整理・②過払い請求・③自己破産・④個人民事再生・⑤特定調停という種類がありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。
以下、それぞれについてメリット・デメリットをまとめてみました。ぜひご参考になさって下さい。
任意整理・過払い請求のメリットデメリット
① 司法書士・弁護士に依頼すれば、まずは債権者からの請求・督促を止めることができる。
② 自己破産や個人民事再生と異なり裁判所を通さない手続であるため、比較的簡便に利用できる。
③ 利息制限法を超過する金利(例えば年20%を超えるような金利)での借入れについては、借入れ元金を圧縮・減少することができる。
④ 債務が残る場合であっても、多くの場合には、債権者と交渉することにより支払い方法の変更(分割弁済)をすることができる。
⑤ 債務が残る場合であっても、多くの場合には、将来利息カットないし減率を交渉することができる。
⑥ 過払い金の返還請求をすることにより、現金を回収することができる(それを債務の返済や生活費に充てることも当然できます)。
⑦ 自己破産とは異なり、官報などで公示されることもないため第三者に知られることはまずない。
⑧ 債権者との関係、司法書士などへの費用を考慮して特定の債権者のみに対して行うこともできる。
① ブラックリストに登録され、数年間金融取引が難しくなる。
② 司法書士や弁護士に依頼しない場合には、うまく整理ができない場合が多い。
自己破産のメリット・デメリット
① 免責の決定を受けることにより、借金・債務を支払う責任を免除される(自己破産の最大のメリット!)。
② 司法書士・弁護士に依頼すれば、まずは債権者からの請求・督促を止めることができる。
③ デメリットに不都合を感じる方は案外少ない。
例1: 高価な財産のみが清算対象になるにすぎず、ほとんどの財産は手元に残ります。
例2: 戸籍・住民票には載りません。
例3: 選挙権を失うことはありません。
例4: 第三者に知られることは実際あまりありません。
① ブラックリストに登録され、数年間金融取引が難しくなる。
② 高価な財産(不動産・自動車・高額の解約返戻金がある保険など)が清算対象になる。
③ 一定の資格・就職について制限される場合がある(警備員・生命保険募集人・司法書士など)。
④ 官報に公告されるので第三者に知られる場合がある(ただし、実際に知られるケースは多くないと思われます)。
個人民事再生のメリット・デメリット
① 負債を最大5分の1(最低100万円)まで大幅に圧縮することができる。
② 司法書士・弁護士に依頼すれば、まずは債権者からの請求・督促を止めることができる。
③ 自己破産と異なり、住宅を手放さなくてすむ場合がある。
④ 自己破産と異なり、資格・就職の制限はない。
① ブラックリストに登録され、数年間金融取引が難しくなる。
② 自己破産と異なり、借金・負債が残る。
③ 債務整理の手続の中で最も複雑なため、一般的に自己破産よりも時間がかかる。
特定調停のメリット・デメリット
① 利息制限法を超過する金利(例えば年20%を超えるような金利)での借入れについては、借入れ元金を圧縮・減少することができる。
② 比較的簡便な手続であるため、司法書士・弁護士に依頼せずに、ご自身のみで申立てをすることもできる。
① 債権者との合意が前提となるため、債権者数が多い場合には成立が簡単ではない。
② 司法書士・弁護士の関与がない場合には、意に反した合意をしてしまう方もいる。
③ 過払い金の返還請求には対応できない。過払い金の返還を求める場合には、別途手続をとらなければならない。